漢方医学は、中国で発祥し日本に渡って独自の発展した伝統医学。患者さんの自覚症状を重視、病気を身体全体の不調和ととらえる。
→ 治療の目的は、全身の調和を正しくととのえること。
=自然治癒力を高めることに重点を置く。
漢方薬は、草根木皮や鉱物、動物由来のものなどの 天然物(生薬)を組み合わせです。
1)単一の方剤で多くの薬効
2)心身両面に作用
3)患者の個体差を重視
4)患者の自覚症状を重視した治療
5)西洋薬剤で得られない治療効果
6)西洋薬剤併用による治療分野の拡大
東洋医学は三千年以上前から伝わる伝統医療で、 様々な疾病の経過やどういう人がなりやすいかなどのデータを集積した結果を系統化し、治療に応用する医学です。
西洋医学が自然科学を分析することにより病気の本体を解明しようとする局所的医学であることに対して、 東洋医学は自然との調和・順応と言う形で生命をとらえる全体医学であり、精神と肉体を一体として考えます(心身一如)
東洋思想(哲学)を基礎として、望診(目で診察する)・聞診(耳で診断する)・問診(症状を聞く)・切診(体を触って診断する)という五感を駆使した診断法(陰陽五行説)を用いて、一人一人の証(診断)を決めます。
証とは体の状態をあらわしたもので、治療は証にしたがって行われます。
東洋医学では、私たちの体は本来バランスがとれていて、そのバランスが失われるとさまざまな病気になると考えます。したがって病気の治療は本来あるべき状態に戻すことです。
将来かかるかもしれなかった病気を未然に防ぐこともでき、これを「未病を治す」といいます。
何千年という長い年月をかけておこなわれた治療の経験によって、どの生薬を組み合わせるとどんな効果が得られるか、また有害な事象がないかなどが確かめられ、漢方処方として体系化されました。
現代における漢方薬は最新技術を駆使した「製剤」として、生薬の持つ薬効を引き出し、かつ服用・保存しやすい状態に加工されたものです。
病院や診療所で処方される漢方薬の多くは、健康保険が適用される「医療用漢方製剤」で、148処方が厚生労働省に承認されています。
「生薬」とは:植物の葉・花・つぼみ・茎・枝・根、また菌類、鉱物や昆虫など、長い経験の中で効きめがあるとされた物質を、利用しやすく、保存や運搬にも便利な形に加工したものです。
漢方薬は生薬を混合して使用するので、漢方薬の特徴は生薬の複合効果です。
草木によって用いる部分が異なります
例:桃の種を用いた「桃仁」
葛の根の部分を用いた「葛根」
芍薬の根の部分を用いた「芍薬」など
鉱物由来:硫酸カルシウムである「石膏(せっこう)」
動物由来:牡蠣の貝殻である「牡蛎(ぼれい)」
本来の漢方薬の剤形 には
「湯剤」「散剤」「丸剤」「軟膏」など
があります。
「湯剤」は、刻んだ生薬を煮出して成分を抽出した「煎じ薬」です。
医療用として使われている漢方薬はエキス剤 生薬の煎じ液からエキス成分を抽出し、アルミパック包装したものです。
エキス剤には煎じる手間がかからない,携帯に便利, 服用しやすい,香りもマイルド、長期保存可能,安定した品質と一定した効果などのメリットがあります
食間(空腹時)の内服が一般的で、食後2~3時間後が望ましいとされています。
薬効成分の吸収が良いため エキス剤を湯に溶かすと効果的で、独特の味や香りを楽しむこともできます。
漢方薬の独特の香りにも有効成分が含まれています。
体質に合うと内服しやすいことが多いです。
飲み忘れた場合には食後の服用も問題ありません。
基本的には西洋薬と一緒に飲んでも大丈夫です。