神経疾患と多職種連携

当クリニックが主に担当する疾患=神経変性疾患

 代表的な神経変性疾患

  1)パーキンソン病/パーキンソン症候群

  2)認知症:アルツハイマー型,レビー小体型,前頭側頭葉型・・・

  3)脊髄小脳変性症

     4)筋萎縮性側索硬化症

      その他慢性に経過する脳神経疾患

  1)脳血管障害 2)てんかん 3)多発性硬化症 4)重症筋無力症・・・・


PD,認知症,SCD,成人癲癇,MSは三重県内医療機関で最多患者数(総合病院を含む)

当クリニックが主に担当する疾患=神経変性疾患


神経変性疾患とは

  • 特有の領域の神経系統が侵され、神経細胞を中心とする様々な退行性変化を呈する疾患群
  • 臨床的には潜在的に発症し、緩徐だが常に進行する神経症状を呈する
  • 血管障害、感染、中毒などのような明らかな原因がつかめない疾患群
  • ADPD/PDD/DLBALSSCDなど

神経変性疾患と異常蛋白質の蓄積

  • 加齢+多くの要因→タンパク質分解機構の機能低下
  • 構造の異常をきたした異常タンパク質の蓄積と伝播
    ・ユビキチン系・リソゾーム・オートファジーなどで排除されない
    ・神経細胞内に蓄積→神経変性疾患の発症
    ・シナプスを介して,trans-synapticに細胞間を伝播
  • 系統変性をきたす神経疾患の病態に共通


ADを中心とした神経変性疾患の歴史

ADを中心とした神経変性疾患の歴史

神経変性疾患と異常蛋白質の蓄積

神経変性疾患と異常蛋白質の蓄積


神経難病患者とその家族の生活を支えるために

神経難病患者とその家族の生活を支えるために
EBMからVBMへ


VBMのためには多職種連携が必要

「身体機能と認知機能が低下する神経疾患に特化
=高齢化する日本を先取りした対応」

◎神経難病患者とその家族のサポートを第一に考えた医療


2000年頃より
「地域医療に根ざした多職種連携教育
(IPE=Interprofessional Education)」を開始


「地域を巻き込んだ多職種連携(IPW=interprofessional work)」を継続・発展


IPE/IPWにより

「神経難病患者とその家族のサポートする地域力」を向上させ、
地域の神経難病患者とその家族が幸せになることを通じて神経疾患患者から選ばれる医療機関を目指しています。


地域の医療・介護連携

①地域の医療機関との連携

総合病院との連携

  • 1.5Tの高規格MRIが当日可能
  • SPECT、脳波、電気生理学的検査、詳細な高次脳機能検査など総合病院で行うことができる検査はすべて外注


開業医との連携

  • 2人主治医制:神経難病のみ当院が担当
  • 緊密な情報交換:頻回に診療情報提供書を記載
    高血圧や糖尿病など体の病気は地元の内科開業医
    神経難病やてんかんのみ当院で治療

※自院ではCT,X-P,ティルトテーブル,ECG,電気生理(NCVのみ)

②地域の介護スタッフ・介護施設との連携

  • 神経難病=日常生活能力の低下=生活のサポートが不可欠
    →主体は介護スタッフ.リーダーはケアマネージャー

Ø在宅:家族,ヘルパー,訪問看護,訪問リハ,訪問入浴・・
Ø通所施設(デイサービス・デイケア)
Ø一時入所(ショートステイ)
Ø長期入所(サ高住,グループホーム,特養,・・・)

  • 生活をサポートするためには介護スタッフとの情報交換が不可欠
  • 介護スタッフの教育と指導


③地域の介護スタッフ・介護施設との連携と教育・指導

  • 約15年間に50回、多職種を対象とする勉強会の講師を担当
  • 対応困難例の事例検討会のアドバイザー
  • 鈴鹿市の認知症初期支援チームの顧問医師
  • 訪問診療は外部の多職種と連携,多数のチーム作り
  • 連携ツール=Medical Care Station、バイタルリンク
  • 患者1名=1グループ,担当する多職種の参加,

同じ情報を同時に共有,医師による解説・指示

④ナーシングホーム(サ高住)との連携

  • 対象=看護必要度の高い神経難病の方
  • パーキンソン病,レビー小体型認知症,多系統萎縮症
    筋萎縮性側索硬化症,筋ジストロフィー など
  • 総合病院に入院後,医療依存度が高く,他の介護施設には入所不可能
  • 呼吸器,インシュリン管理,胃瘻・経管栄養,点滴,
  • 日中は利用者(20+α)人に対して看護師3~4人体制
  • 特定疾患→訪問看護指示書,特別訪問看護指示書
  • パーキンソン病専門ホーム「PDハウス」と同じ仕組み

まとめ

  • 患者が病気と共に歩み,患者自身の人生の価値をより高めることをサポートする
  • 多職種のネットワークの中で,認知症を含む神経難病患者と家族が「生きること」を支援
  • 神経難病=認知機能・身体機能・自律神経機能の低下 → 多職種によるサポートが必要
  • 地域の多職種の教育と指導 → 患者・患者家族への高いサポート力


「治らない病気でもここに来れば何とかなる.気持ちよく生きることができる」と言われるような医療機関を目指しています

まとめ