脳卒中とは、脳の血管が詰まるか切れることにより、その先の脳細胞に血液が届かなくなり、脳の一部が死んでしまう病気です。
脳の動脈が詰まる → 脳梗塞
脳の動脈が破れる → 脳出血
脳梗塞はさらに、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓に分類されます。 各々原因・危険因子が異なるので、治療方法が異なります。
脳卒中の過半を占める病型
脳動脈の閉塞または狭窄により、脳の神経細胞に血液が十分に供給されなくなり、神経細胞が障害される
病態によりさらに3種類に分類される。病態により治療法が異なる
脳動脈が破れ、流出した血液が神経細胞を障害することで、症状が出現する。
細い脳動脈が高血圧などによる動脈硬化で障害され、破綻することにより起こる。
細い脳動脈は脳内に入り込んでいるので、出血は脳内に拡大。
脳動脈の破れにより症状が出現しますが、破れる血管は脳の表面を走る主幹脳動脈で、血管の一部が瘤状に膨れた脳動脈瘤が破裂します。
動脈瘤が破裂すると、脳の表面を覆うくも膜という薄い膜の内側に出血します。くも膜下出血は脳卒中の中では死亡率が高く、重症な病態です。
脳梗塞と同じ機序で起こった神経症状が24時間以内に消失する状態。
ほとんどの場合は1時間以内に症状が消失しますし、数分間の発作で済んでしまう場合も少なくありません。一過性脳虚血発作は脳梗塞の前触れ発作として重要ですが、治療を行わず放置すると脳梗塞を引き起こす可能性が高いです。脳梗塞を起こす前に適切な治療を開始すると、脳梗塞を予防できる可能性が高まります。
脳卒中は特に予防が重要です。
日本脳卒中協会の「脳卒中予防 十か条」がお勧めです。
血圧は、体を動かす、暑さ・寒さなどちょっとしたストレスで上昇します。こうした一時的な血圧上昇は、高血圧とはいいません。
高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。
高血圧になると血管に常に負担がかかるために、血管内壁が傷ついたり、固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。
高血圧を放置していると、動脈硬化を進行し、脳卒中や心疾患、慢性腎臓病などの重大な病気につながります。
特に、脳卒中は高血圧の影響が大きいことがはっきりしています。
1)脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)
高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中です。血圧が高いほど脳卒中の発症率が高いことがわかっています。
脳卒中は、命が助かっても、運動障害や言語障害が残りやすく、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。
2)心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
高血圧は、虚血性心疾患のリスクも高めます。
虚血性心疾患とは、高血圧などで血流が悪化し、十分な血液が供給されなくなることではたらきが鈍くなる状態です。
虚血性心疾患には狭心症と心筋梗塞とがあり、いずれも高血圧が大きく関係しています。
3)慢性腎臓病
血圧が高いと腎臓にも大きな負担がかかり、血液中のナトリウムなどの排泄がうまくいかなくなり、さらに血圧が上昇しやすくなります。
慢性腎臓病になると、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなります。